発表 2004/02/07

幽霊が出たっ!

俺がまだ小学生の時の話。
家と学校の中間くらいの位置に幽霊屋敷があった。
山の中にぽつんと建つやたらに大きい洋風の廃墟。今から考えればペンションかホテルか何かの残骸だったんだろうか。
それだけでも充分に不気味だったんだけど、人通りもほとんどないし、すぐそばには首のない地蔵が鎮座してるしで必要以上にダークな雰囲気を醸し出してたわけだよ。

当然というか、その屋敷で白い服の女の幽霊が出たとか、何組のなんとか君が幽霊に追いかけられたとか、何組のなんとかっていう女子は屋敷に入って呪われたとか、小学校内でそういう噂は絶えなかった。
まあこれも当然、噂している自分たちはほとんど信じちゃいなかったけど。
あるだろ?いじめられっこから、菌とか発生するわけないじゃん。信じてるわけじゃないけど、信じてるフリしてるほうがおもしろいもんだから、皆で信じてるフリしてる噂みたいなもんが。あれだよアレ。

そんなある日の朝、突然全校生徒が体育館に集められた。カーテンが閉められて真っ暗になった体育館にあるスライドが映し出される。
俺たちが驚いたのはそのスライド群が、俺たちの良く知るあの幽霊屋敷の写真だったからだ。一体なぜ?一斉にざわめく生徒たち。中には悲鳴をあげる女子もいたな。
ちなみに俺と仲間たちはきっとこの写真には心霊が写りこんでるに違いないと思って、目を皿にしてた。

すると校長がゆっくりとマイク越しに話し始めた。
「はい、静かにねー。みんなもよく知ってるこのお屋敷に先週、おじいさんのおばけが出ましたー。5年生の生徒が見たので間違いありませーん。」

はあ?ってなもんだ。全校生徒で「えー?」の大合唱。まず、ほとんどの連中はさっき言ったとおり信じてないし、大体そういう霊現象が実際あるということにしても、学校で、校長が、全校生徒の前で、語るか?
シュールなギャグってものを小学生たちは初めて見たね。
校長が「何か質問がありますか?」ってんで生徒から次々と質問の声があがる。
「どんなおじいさんだったんですか?」
「その見た生徒はどんなことをされたんですか?」
その質問に校長はまあ丁寧に答えていったわけだ。その度に大爆笑や「えー!?」の合唱が巻き起こる。あんなエキサイティングな全校集会はあれきりだったなあ。
でも校長、この騒ぎをどう抑えるの?とか思ってたらすぐ脇から救世主が現れた。
俺たちの学年の生活指導の教師、Y。その風貌と喋り方からあだ名は、「ヤクザ」。ストレートっすね。
Y先生は横から校長のマイクを奪い取ると、
「黙れ!おばけは本当に出たんだよ!」 と、一言。

うわあ、ここにもシュールさんがいた。なんで俺はあの時「さぶい」って言葉を知らなんだろう。悔やまれる。
今思えば、廃墟に近づいて事故でもあったら大変だし近づけないようにしましょうってことなんだろうが、あんまりな手段じゃないですか?子供をナメ過ぎですよ。当時、俺はもうオナニーしてましたよ。
まあ、あんまり子供に子供だましなこと言ってると逆にナメられますよってことだな。
リアリティー持たせるなら、「キチガイのホームレスがねぐらにしてるから、近づかないように」って言ったほうが良かったね。

今、あの幽霊屋敷は取り壊されてでっかいサウナ屋になってる。ロマンがねえなあ。

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