発表 2004/06/15

グリングリーン

緊急ニュース!あの名曲『グリングリーン』の元になったと思われる小説が民家の蔵から発見。

以下、一部抜粋。

ある日パパが、近所の丘まで散歩に行かないか、と誘ってきた。
パパと二人で話をするなんて何年ぶりだろうか。自然に僕の口の動きはぎこちなくなった。
いい天気だ。梅雨の割には強い日差しが心地よい。しばしパパの存在を忘れて目を細めて空を見上げた。

「この前、召集令状がきた。」

ふいに背後から声をかけられて飛び上がりそうになったが、パパの言葉の内容を把握してもう一度飛び上がりそうになった。
パパはポケットから薄赤く染みた程度の悪いザラ紙を取り出して眺めた。
召集令状。いわゆる『赤紙』というやつだ。

「いいか信吾、明日からパパはいない。これから辛く、悲しいことがあっても、ラララ、泣くんじゃないぞ。お前は、ラララ、この家に残る唯一の男子なんだからママを、ラララ、立派に守ってゆかなければ。」

パパは今日は「オペラ歌手の日」なんだそうだ。
昨日は「ピンクの象の日」だったし、おとといは「白いワニの日」だった。
今日は人間なのでこちらとチャンネルがつながっていて、状態のいい方だ。
いい方、というかここ最近では最高の状態だろう。
この前人間だった時は「空の飛べる人の日」だったため、パパがビルの屋上から飛ぼうとするのをママと二人して泣きながら止めたのをよく覚えている。

パパと話せる内に話せるだけ話そう。
そう考えた僕はそれから日が落ちるまでパパと話し合った。
戦争のこと、人を愛するということ、そして生きるということ。

途中、パパが脳内全国ツアーを始めたので1時間ほど中断したが。

明日、パパは戦場に旅立つ。
そして帰りを待つこと自体が徒労に終わるかもしれない。
僕は話しながら自然と涙を流していた。

そして・・・パパは生きるために人を殺さなければいけない戦場へと向かった。

次の日、パパは適性検査で落とされ帰りの電車でウンコをもらして泣きながら帰ってきた。

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