発表 2004/09/18

名作アニメ、知られざる最終回列伝

少しの間、思い出して欲しい。
子供の頃、大好きだったあのアニメ。毎週欠かさず見ていたはずなのに、なぜか最終回だけが思い出せない。そんな作品はないだろうか。

この「名作アニメ、知られざる最終回列伝」はそんな最終回がどうなるのか意外に知られていない、または大人の事情などによって最終回がお蔵入りしてしまったというような不遇の最終回を紹介するシリーズである。
さて、第一回目の今回は『妖怪人間ベム』を取上げてみよう。

妖怪人間ども 『妖怪人間ベム』と言えば19世紀初めを舞台に、一人の化学者が正義と犠牲の精神を持った生命体を作るためにバイオテクノロジーの研究の末に生み出した3人の「妖怪人間」を主人公にしたアニメ。

彼らは、見るもおぞましい大きな眼玉の怪物<Bug-Eyed Monster>であったが、彼らは人間の外観を真似て変身する超能力を持っていた。
また、人間の弱い心にとり入った悪い妖怪たちの姿を見つける能力も備えていた。彼ら3人は愛する人間達のために、この悪い妖怪と戦う道を選んだ。しかし、B.E.M.の本性を表わすと、守った人間達から嫌われ、追われるのである。
‥‥‥そんな彼らの願いは一つ「人間になりたい」‥‥‥それだけであった。

このアニメ、第26話の『亡者の洞穴』で完結だと思っておられる方が多いのにはいささか驚かされる。

もしあなたがそうなら反省していただきたい。

もっと反省していただきたい。

もっと。

さて。件の26話にて人間になれる方法を見つけながらも人間の放った炎に巻かれ、姿を消す。 彼らは死んでしまったのか?
イヤ、吉幾三の言葉を借りるまでもなく「おばけは死なない」のである。
炎から辛くも脱出したベムたち3人のその後を描いた第27話『ベム、係長に昇進』(台本のみが現存)にその詳細は隠されている。

炎から脱出し、とうとう人間になることのできたベム、ベラ、ベロの3人。
身を粉にして働き、最近ではようやく人並みの生活を送れるようになっていた。特に、ベラがバイトしているSMクラブの収入が大きい。
『さあ、覚悟するんだね。ベラの鞭は痛いよお〜!』
『ベラったら、また言ってらあ。人間になっても変わらないね。』
ベラの働いている様子を盗み見て微笑むベロ。

そんなベロにもとうとう念願の友達が出来たようだ。
もちろん、人間の友達であるので必要以上に心を開くのは禁物だ。目立たず、周囲の反感を買わないように控えめに生きる術も身につけた。
最近、ベムは「郷に入れば郷に従え、だ」と寂しげにつぶやくことが多い。
ベムは中途採用ということでいろいろと苦労も多いようだ。最初はどこの会社でも面接で「妖怪やってました」というだけで追い返されたが、元妖怪(今風に言ってモトヨウ)に理解のある社長に知り合ってようやく今の職を得た。

もとより仕事の経験などあろうはずがない。免許も持っていない。自分より20も年下の上司に怒鳴られる毎日。スリッパで頭をしたたかに叩かれる日もあった。
『ベムさん、焦らずに行きましょ。俺が入社した時に比べたら全然飲み込み早いッスよ。』
やはり自分の半分も生きていないような同僚に慰められて涙が止まらなかった夜もあったという。
─もうすぐだ。もうすぐ俺は焼き切れる。
ベムは安居酒屋のトイレで幾度となくそう言っては頭を抱えた。

そんなある日、ベムに係長昇進の報が飛び込んでくる。突然の話に有頂天になるベム。ベラとベロも大喜びでパーティを催してくれた。
『あなたなら、きっとやってくれると信じていたわ。』
ベロが寝た後、ブランデーで祝杯を挙げるベムとベラ。この後なにがあったかは、まあ、2人だけの秘密というやつだ。

しかし、この人事そのものが常務派の陰謀であることを彼はまだ知らない・・・。

ラストシーン、
『はあ。妖怪に、なりたいなあ・・・。』
とつぶやいて街に一人で背を向けるベムの姿に涙しない方はいないであろう。
今だからこそ、見直してみたい一作だ。

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