うちの野球部は弱小だ。部の開設以来15年間、公式戦ではただの1勝すらあげたことがない。 この地区では一番の安全パイだということで、他の高校の野球部主将は地区予選の組み合わせ発表の際には『1回戦はうちのチームと当たれ』と祈るのだと言う、まことしやかな噂が流れるほどだ。そして多分、それはただの噂などではなく、真実なのだろう。 うちのチームが弱いというのは、もはや地区内の定説になっているのだ。
すすんで惨めな想いをしたい、というヤツなどいるはずがない。
しかし、俺はそれでもめげるようなことはしない。
念願の1勝まで、あと1人。あと1人。
ピッチャー滝津。泣いている。
キャッチャー大沼。やはり泣いている。
センター火口。
サード岡山。 みんな、みんな、最高だ!最高のチームメイトだ! 「みんな、ありがとう。これは俺たち、全員の力でつかんだ勝利だ。俺はみんなのことを、心の底から誇りに思う。」 キャプテンでショートの大神が、嗚咽をあげながらみんなに語り始めた。 「中でも、補欠の春日部。俺は今日勝利できたのは春日部のおかげだと思う。」
驚いた。
「今日の勝利は間違いなく春日部のおかげだ。3年生だからって、最後だからって、レギュラーにこだわらずに補欠でいてくれて良かったよ。 ゾッとする。 いいか、みんな。この先、誰か一人でも怪我で欠場するようなことがあれば、今度は間違いなく春日部を出さざるを得ないんだからな。 後がないと思って気合入れて行けよ!」 「もちろんだよ!キャプテン!」 「ありがとうな!春日部!」 「打ち上げの準備、よろしくな!」
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